【社会福祉士国家試験まであと9日】社会福祉士の私が心に刻んできた言葉
人の話を聞いている自分ばかりみているんじゃない?
あなたは本当に人の話をきいている?
この言葉をいただいたときは、衝撃的でした。そしてこれを認めるのにはずいぶん時間を要しました。
私は本当の意味で、人の話をきけていませんでした。
私がもともと福祉の世界に興味を持ちだしたきっかけは一つに、友人から「聞き上手だね」と褒められたことがります。
「人の話を聞くのが得意な自分」
これが当時(中学2年生だったと思います)からこれまで続く、自分のアイデンティティでした。
人の話を聞いている自分ばかり見ているんじゃない?
言われたすぐは、まったく認めることができませんでした。そこを認めてしまったら、自分という価値がなくなる気がして怖くてたまりませんでした。
自分なら大丈夫、話を聞けるはずと思い込み過ごしていましたが、
- ニーズを確認することができなかったり
- 理解できていないのにわかった気になったり
- 本人ではなく自分の思いを伝え困惑させてしまう
など、何度も何度も失敗する日々が続きました。
それが話を聞けてないがゆえなのは明らかでした。それでも認めることが出来ず、精神的にも非常に苦しかったのを覚えています。
失敗するたびに「話を聞いている自分ばかりみているんじゃない?」
この言葉が頭をよぎりました。
受容や共感、ありのままをみるといった社会福祉士、ソーシャルワーカーの原則があります。
学生の時「当たり前じゃん」と流して講義を受けていた私を殴ってやりたいです(笑)
めちゃくちゃ難しい。
社会福祉士自身にも背景があり、性格があり、考えがあります。
相手は望んでいないのに自分の意見を言ってみたり、相手が話している最中に「どうやって解決していこうかな」等と集中できていないかったり、加えてこちらの偏見や先入観もあります。
私の場合は話を聞けていないことを認めてしまったら、自分が自分で無くなる怖さがあり、認めることがなかなかできませんでした。
でも、ある日、きっかけは覚えていないのですが
「弱さを認める強さを持ちたい」
と思えるようになり、そこから話を聞けていない原因を自問自答したり、人に聞いてみたりするようになりました。
- 上手な面談をして、自分はできると思い込みたい
- 聞き上手だねと褒められたい
- 聞き上手な自分であることに自信を持っている(それ以外に強みがないと思い込んでいる)
- 話をきいている自分、かっこいいでしょと自己満足
恥ずかしいし、社会福祉士としてあるまじき態度なのかもしれません。
でもこれらを受け入れたら、なんだか肩の力が抜け、まあしょうがないかと思えるようになりました。
そういう気持ちもあることもあるよね、と少しだけ自分を俯瞰して考えることができるようになりました。
働いていると、認めたくない感情に気づくこともあります。
でもそこを認めること、弱さを認めることがまた強さに変わっていきます。
そして成長に繋がります。
なかなか人に相談できないかもしれません。でも、私の経験でしかありませんが、モヤモヤした気持ちをきいてくれる人はきっといます。
あなたを見てくれている人は必ずいます。
一緒に頑張っていきましょう😊
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【社会福祉士国家試験まであと10日】社会福祉士の私が心に刻んできた言葉
情報を埋めることが目的じゃないよ
新卒で医療ソーシャルワーカーとして働いていた時、上司から「フェイスシート(基本情報のようなもの)を15分以内にとってきて」と時間指定で依頼されました。
当時の私は(今もですが)、できないことが多くミスばかりしていました。だから、とても恥ずかしいですが「褒められたい」一心で時間通りに完璧にフェイスシートを記入してこようと、急ぎ足で病棟に行ったのを覚えています。
15分後見事フェイスシートを埋めて上司に提出しました。そして上司に言われました。
「ありがとう。ところでこの方の見立てはどう考えている?」
...頭が真っ白になりました。見立てなど考えていませんでした。考えていたのは情報を時間内に埋めて、褒められることです😅
この上司はこうなることを予測して私に頼んでいました。時間を指定したのは、限られた時間で優先順位をつけてもらうためとのことでした。
情報を埋めることは誰にでもできます。聞き取りのように一つ一つ聞けばよいだけですから。
単に情報を埋めるのではなく社会福祉士、ソーシャルワーカーとしての「見立て」。が重要です。
本人自身が訴えている困りごとはもちろん
- 専門職として推察される課題
- 本人が気づいていないこと
- 未来起こりえること
を
- 背景
- 周りとの関係性
- 他職種からの情報
から「見立て」、本人とともに課題を解決していく専門職です。
情報を埋めることが目的じゃないよ
この1件で少しだけ、専門職としての自覚が芽生えたことを記憶しています。
これからも勉強していきたいと思います。
【社会福祉士国家試験まであと11日】社会福祉士の私が心に刻んできた言葉
しったかソーシャルワーカーにならない
知識を蓄え、ある程度経験を積むと、その方の今後の見通しが立てられやすくなります。
何人も相談させていただいていると、「この方はこうだろうからこの制度を紹介しよう」とか「前相談にきた〇〇さんと同じ内容だな」と、これまでの経験や知識でこちらの枠にはめがちになります。
業務としてのスピードは速くなり、そつなくこなせるようになるかもしれません。
でも私が目指していた社会福祉士、ソーシャルワーカー像は、そうではなかった。
真摯に話をきき、その方をかけがえのない一人として接する、そのようなソーシャルワーカーになりたくて、社会福祉士の勉強も乗り越えられました。
「一方的に」カテゴリー分けして、話をきいている「つもりに」なって、その方の困りごとを「勝手に」決めつけて....
私は知ったかぶりなソーシャルワーカーになっていたかもしれません。
私が目指していたソーシャルワーカー像は何だったのか、初心に立ち返り、もう一度学びなおしたいと思いました。
認知症の人だからとか、障害のある人だからとか、そういうことではなく、ありのままのその方から感じたい。
知識や経験は課題を見つけたり、問題解決に活用出来たり、将来を見通せたり、支援を行う上で必要不可欠です。
ただ、100%その方の事すべてを理解することはできません。なぜならその方と私は違うからです。
だからこそ、わかろうとすること、その方を知りたいと思うこと、そのために知識を蓄えることが大切なのではないでしょうか。
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【社会福祉士国家試験まであと12日】社会福祉士の私が心に刻んできた言葉
決めるのはあなたじゃなくて本人だよ
支援者の視点から見ると、明らかにこちらの選択の方が本人にとって良いと思うことがあると思います。
- このサービスを利用したい方が良いんじゃないか
- 在宅での生活は難しいのではないか等
その日、こうした方が「本人のため」になるのではないかとその方に相談したところ
あなたが決めるんじゃない。決めるのは本人だよ。
と言葉をいただきハッとしたのを覚えています。
クライエントは認知症や障害、虐待、引きこもり等、何かしらの生活のしづらさを抱えています。病気やそれまでの背景により、選択する力、判断する力が弱まっていることがあります。誰にも助けてと言えず一人で抱え込み、自分自身を否定し続けてきた方もいます。
そのようなクライエントに対し社会福祉士、ソーシャルワーカーとして「何とか助けたい」と思う気持ちは当然あるでしょう。私もそう思っていました。
ただ、社会福祉士、ソーシャルワーカーは先導者ではなく、伴走者です。
課題という壁に直面したクライエントの持っている力を信じます。その上で壁を越えられるようサポートします。
「何とか助けたい」という気持ちは大切ですが、それが強すぎると「こうあるべきだ」「自分がいなければこの方はだめだ」
と支援者が勝手に判断してしまい、本来主体であるはずのクライエント本人を置いてけぼりにしてしまうこともあります。
「良かれと思って」は、本人にとっては迷惑極まりないこともあるのです。
そしてそれは、本人の持っている力を潰してしまうことにも繋がります。
- 認知症が進んでも、障害の程度が重かったとしても、できることはある
- 本人の持っている力を信じる
- 本人の人生を、本人自身が決められるよう、選択を支える
心がけていきたいです。
皆さんはどんな社会福祉士、ソーシャルワーカーになりたいですか?
国家試験まであと12日。もう一息です。
【社会福祉士国家試験まであと13日】社会福祉士の私が心に刻んできた言葉
頭は冷静に 心は熱く
新卒1年目、医療ソーシャルワーカーの私が掲げた目標は「目の前の方を何とかしたい気持ちを忘れない。誰からも信頼される人材になる」でした。この目標を見て多分お分かりかと思いますが、だいぶ前のめりでしたね...気持ちのみで突っ走っていました。
私が社会福祉士を目指したきっかけの一つに「困っている方の相談に乗り何とかしたい」という理由がありました。
結果社会福祉士を取得し、あこがれだった医療ソーシャルワーカーとして働くことができ、情熱の塊だったことを覚えています😅
でも現実は、失敗失敗、失敗の連続でした。
- 前のめりになると視野が狭くなり、話をきくことができない
- 感情だけで動いた結果、クライエントの不利益になってしまう
- 出来ないことを出来ますと言って振り回してしまう
- 自己決定を支える専門職のはずなのに、営業のように提案ばかり
- 何か一つに没頭し、やるべきことの優先順位がつけられない
まだまだありますが、このへんにしておきましょう😅
「何とかしたい」のはクライエントではなく、丁寧に話をきけたとか、良い面談ができたとか、そういった自分自身のプライドであったことに気付かされました。
頭は冷静に 心は熱く
自分の感情と向き合う。
客観的に、俯瞰的に今の状況を把握する。
一呼吸おいてから始める。
このような冷静さも重要であると、この言葉をきっかけに学びました。
情熱も必要です。支援者側が諦めてしまったら、クライエントにとっての課題は解決されないかもしれません。
どんな状況でも諦めない。情熱を持ち続けることも大切と思います。
社会福祉士試験は冷静な頭を養う手段です。ぜひ合格し、熱く働きましょう。ただ前のめりになりすぎないように(笑)
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【社会福祉士国家試験まであと14日】社会福祉士の私が心に刻んできた言葉
優先順位をつけて思考を止めるな
厳しくも優しい先輩でした。
私は当時、ショートステイの生活相談員と介護職員を兼務していました。
その日は主に介護の仕事をしていました。先輩の相談員は不在でした。
たしか半日の間の出来事だったと思いますが、新規利用の依頼連絡が立て続けにありました。
私は「確認します」と、今思えば簡単に返事をし、また介護業務に戻っていました。
夕方、依頼のあったケアマネさん数人から「どうですか?本人、家族が困っているんです。利用できないですか?」と連絡がありました。
私は「確認します」と言ったことをすっかり「忘れて」いました。
ただ振り返ってみると「忘れた」背景には
- 「人手が足りないから現場は抜けられない(現場の職員に怒られたら嫌だな)」
- 「先輩が出勤してきたら相談しよう」
- 「そんなに急ぎじゃなさそうだからまだ確認しなくてもいいかな」
このような自分の感情や思い込みもあり、優先順位がつけられず、意図的に忘れたんだろうと思います。
ショートステイを利用できないことで困るのはもちろんケアマネさんもですが、何より本人、家族が最も困っています。それは私の感情や思い込み、優先順位が立てられず引き起こしてしまった結果です。
その先輩からさらに
できることはすぐやる
このように教えていただきました。
今何をすべきなのか、何を優先すべきなのか、何を後回しにすべきなのか、周りの状況や自分の感情も確かめながら、社会福祉士、ソーシャルワーカーとして、クライエントにとって最善の利益に努めていきたいと思った一件でした。
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【社会福祉士国家試験まであと15日】社会福祉士の私が心に刻んできた言葉
色んな人の背中をみて価値観を広げてほしい
社会福祉士を取得し働き始めて10年ほどになります。
これまでたくさんの出会いがありました。
嬉しかったこと、悲しかったこと、悔しくて夜も眠れなかったこと、悩んで打ちのめされたこと、私にとってその出会いの一つひとつがかけがえのない財産です。
社会福祉士は「人」と関わります。感情が揺れ動く経験の連続です。
社会福祉士、ソーシャルワーカーとして成長する上でも出会いは大切です。もちろん運命的な出会いもありますが、出会いは「つくっていく」ものだと私は感じています。
仕事をしていて気になる方と繋がったり、研修で出会った方と名刺交換をしたり、SNS上で繋がりを持ったり、新たな出会いの場に飛び込んでみたりすることで、今まで見えなかった世界が見えてきます。
当たり前だと思っていたことがそうでなかったり、自分が考えもしなかったことを実践していたり、新たな発見・気づきが生まれます。
色んな人の背中をみて
価値観を広げてほしい
地域包括支援センターで働き始めて、仕事がわからず不安な日々を過ごしていたときに頂いた言葉です。
私にとってその方との出会いは偶然でしたが、その方は私のことを気にかけてくださっていたことを後で知りました。
出会いをつくってくれていました。
社会福祉士の醍醐味の一つは「人との出会い」です。ぜひたくさんの人の価値観、世界を知ろうとしてください。
私もたくさんの出会いを楽しみにしています。そして積極的に出会いをつくっていこうと思います。